20110908

キモイ趣味

余一氏のお部屋の片隅。
サカモトちゃんが撮影した余一氏の写真の隣りに、
なにやら怪しい段ボールがあります。

段ボールの中には、白い楕円形の物体と蛾の死骸が。
映画「エイリアン」のワンシーンを連想させます。

まだ生きている蛾も。
羽は、体に対して小さすぎて飛べないようです。

そして白い物体の周りには黒い粒が付着してます。

卵だね。

と余一氏。

よくよく見てみるとスゴい数です。
何の卵でしょうか。

蚕(かいこ)です。
こないだ繭(まゆ)を数個頂いてね。
育てることにしたんだ。


蚕は古代から人と共に生きてきた虫。
今では退化してしまって羽化しても羽も大きくならない。
つまり飛べない、逃げない。
人がいないと生きていけないんだ。


蛾の状態になるのは蛾の一生では最後の一瞬。
イモムシの状態が長いんだけど、
その間に何度か脱皮を繰り返して、
繭を作り、その中でサナギになる。


この繭が絹糸になるんだよね。


羽化したあとはスグに近くの異性と交尾の末、
産卵、その一生を終えるんだ。


今、この段ボールの中にあるのはその最後の残骸。
クライマックスです。
俺、泣きそうになっちまったよ。


これからこの卵を大事に孵化させて育てていくよ。

と余一氏はこの蛾、
いや蚕についてしみじみ語っていました。

蚕はその昔、「こ」と呼ばれていたそうですが、
人が飼うようになり「かいこ」となったそうです。

または神が生んだ虫ということで「かみこ」、
それがなまって「かいこ」となった説も。

神様の虫って考えると、すごい神秘的だよね。
ツブラな真っ黒い目をしてて、羽も小さいからカワイイ。
まるで天使のようにも見える。


孵化する前には卵が青くなるらしい。
それも是非見たいね。

しかし、蛾ですよ、蛾。
そして段ボールの中はその天使の死骸でいっぱいですよ。
…キモイ趣味が増えました。